NHK Nodo-jiman Contest, London, July 22, 2004

NHKのど自慢コンテスト予選出場顛末記             

JSTV(衛星放送)で「NHKのど自慢ロンドン大会が開催されます!出場者を募集中!」というコマーシャルをみたのは3月の初めころ。最初は冗談で応募しちゃおうかな〜チャンピオン大会出れたらタダで日本に帰れるかもねぇ〜なんて笑っていたけれど、なんどもなんども流されるコマーシャルをみているうちに、だんだんその気になってきた。思い起こせば若かりしころ、歌手を目指してオーディション何回も受けたっけねぇ。(全部書類(写真)選考で落ちたけど)実力をつけようとボイストレーニングにも通ったっけねぇ。(先生に「あなたの声は演歌向きね」と言われて腹たってやめたけど)かなわなかった夢だけど、もしかしたらこの出場がきっかけで売れっ子主婦シンガーになれるかも?なんて頭の隅っこで思ってしまった私。どーせ応募しても応募者多数で受かりっこないんだから、応募しとけ、って勢いで応募してしまった私。まさか本当に「予選出場のお知らせのメール」を受け取る日が来るとは知らずに・・。

2004年7月22日、りっきとベビーシッター役の友人りっちゃんと、これまた助っ人ベビーシッターの彼女の友人の元保母さんと一緒にロンドン郊外にあるアレキサンドラパレスという場所にやってきました。ここでのど自慢ロンドン大会の予選会が行われるのです。

予選会には257組の人たちが選ばれていました。そして本選に進めるのはその中からたったの25組。予選会場の中に入るとたくさんの人たちでごった返していました。とにかくすごい人。予選会には応援の人たちも自由に入れますから、もちろん全ての人たちが予選に出るわけではないのですが、ちょっとびびってしまった私。こんなにたくさんの人たちの前で歌えるんかいな・・・。その上会場を見渡してびっくりです。予選出場者の三分の一くらいはあきらかに日本人以外の人たちです。やはり日本人とのハーフっぽい人たちが目立ちますが、中には中近東系やアフリカ系、そして金髪碧眼な人たちもちらほら見えます。NHKのど自慢の知名度っていったいどのくらいなもんなんでしょう。この人たちはいったいどうやってこの予選会のことを知ったんでしょう?曲目はかならず日本の曲(日本の曲であれば英語でかまわない)ということですが、こんなにたくさんの外国人の人たちが日本の曲を知っていて、歌えるのかとびっくりしました。

私の選んだ曲目はミーシャのエブリシング。この曲を決めるとき、とっても悩みました。大体NHKののど自慢というものは、歌がうまいということはもちろん大事ですがそれよりも、出場者のバックグラウンドや話題性、インパクトなんかも重視して選ばれるということもわかっていました。ロンドン大会のゲスト歌手は森進一と小林幸子ですから、二人の歌を歌う人たちも何人か選ばれるだろうということもわかってます。やっぱりNHKだから演歌で行くべきか、それともウケ狙いで山本リンダでもやるか、それとも本当に自分の好きな、そして歌いなれている歌で行くべきか・・・。悩んだ結果、本番できっと実力が出せやすいであろう、歌いなれているこの歌にしました。

会場は4000人入る大きなホールです。私たちが到着した時にはすでに4000脚の椅子がおかれていました。ステージでは生バンドが音あわせをしています。11時半に受付が始まり、実際の予選会は13時からということでした。段々緊張が高まります。予選会に向けて、歌の練習は積んできました。もちろんカラオケなんかに気軽に行ける場所に住んでいるわけではないので、練習の場所はもっぱら車の中と家だけです。CDを何度も何度もかけなおして繰り返し繰り返し練習し、歌詞もすっかり暗記したはずなのに、会場について口ずさんでみたら出だしの歌詞を忘れてます。焦ってCDを取り出してもう一度きいて、出だしの「すれちがう・・」という言葉を手のひらにペンで書いておきました。

もう一つ気になっていたことは、生バンドでの伴奏です。いつもCDやカラオケにあわせて歌っているから、生バンドでの伴奏で歌うといったいどういう風になるのだろう。前奏はどうなるのだろう。アレンジされているのだろうかそれともそのままなんだろうか。キーはオリジナルと同じキーなんだろうか、テンポはどうなるんだろうか。そういう不安がありました。

13時ころになってようやくプロデューサーらしき人がステージ上にたって、説明を始めました。予選の進め方、マイクの持ち方、立ち方、伴奏についての説明、会場にいる人たちへの応援のお願いなどなど。また、今回予選に応募した人たちは570組くらいいたということでした。すでにここでも半分以上の人たちが落ちていたとは意外でした。日本各地で行われる予選会では毎回20組の本選出場者を目指して1000通以上の応募があるということは知ってましたが、海外大会ではそんなにいないだろうとたかをくくっていました。抽選の結果250組が予選会に進めて、という話をきいたときも、実際250組もいないんじゃないの?なんて思ってました。しかし、いましたよ、しっかりと250組。すごいもんです。

そして、プロデューサーの説明が終わると、NHKのど自慢の顔、宮川アナウンサーが登場しました。テレビでみている顔・声です。宮川さんはさすがプロのアナウンサー、流れるような口調でプロデューサーの説明に補足をつけたり、合格するコツなどを面白おかしく話してくれます。余談ですが、今回は日本語があまり得意ではない人たちがたくさんいるので、通訳さんがついています。しかし、宮川さんについた通訳はひどかった。この人は本番でも通訳でついていましたが、なぜこんな人をつかうのかっていうくらいひどい通訳さんでした。

さて、とうとう予選開始です。私の出番は36番。予選会での歌う順番は歌く曲名のあいうえお順です。だから同じ曲を歌う人が複数いると、同じ曲が続けて演奏されます。私のすぐ後の人たちは5人続けて森進一の「襟裳岬」を歌ってました。こういう場合その場で比べられちゃうから嫌ですね〜。

1番の人から20人ずつ、前のステージに上がって待機します。一番の人が歌っている時は2番の人が後ろで立って待機。終わったら1番の人からマイクを奪って(もらうのじゃなくて奪ってください、といわれました)2番の人が歌う。写真は前の人が歌っているのをたって待機しているときの私です。このときは、私は非常に落ち着いてました。前の人の歌をききながらその歌を口ずさんでいたくらいです。あまり前の人がうまくなかったので(失礼)私、もしかして、いけるんちゃうん?とうぬぼれていた瞬間です。

予選会の時に歌える時間は前奏を含めてたったの40秒、ときいていました。が、実際には1分から1分半くらいは歌えたと思います。多分ロンドン大会の場合、イギリス国外から来た人がたくさんいるので、遠方からわざわざ来てもらって40秒では、と気を利かせてくれたのではないでしょうか。(おかげで予選会の予定時間が大幅に遅れたようですが)

前の人の歌が終わり、係りの人に言われたとおりマイクを奪って、さあ、本番!とマイクを構えて「36番、エブリシング!」と言った瞬間に頭の中が真っ白に。聞きなれた伴奏が聞こえてきても、なんだかよくわからない。どこから入るんだっけ?あ、コーラス部分が聞き取れない。あ、ここで入るんだ。♪すれちがう・・・♪歌い始めたのはいいけれど、伴奏と自分のキーが合っていないようないるような。不安に駆られて思わず後ろのバンドを振り向いて「あれ?」と言ってしまった私。(しまった!)それでも、その後はどうにでもなれ、と思いっきり声を振り絞った私でありました。サビに入るぞ・・というところで「きんこん♪」と鐘二つで終了。(予選会ではみなさん平等に鐘二つがなります。)あっという間の出来事でした。

頭がぼーっとしたままステージをおりると、ステージの下に座っていた宮川アナウンサーに声をかけられます。ロンドンに来る前に下調べしておいたのど自慢大好きのホームページにも書いてありましたが、歌ったあとで宮川さんに声をかけられると合格率が高いとか低いとかいう噂があるようですが、今回の予選会では全ての人に声をかけていたようです。宮川さんの持っていた私のプロフィールに、「妻・母・社長の三足のわらじをはいて・・」というところの「社長」の部分に○がついていていたのですが、そのことについてきかれました。歌のできはどうだったか自分ではわからないけれども、もしかしたらこの辺で予選を通るかも?なんて考えてました。そんなこと考えてるようでは予選は通らないんだけどねー。(笑)

歌い終わってから席に戻ると、りっきをみていてくれたりっちゃんと元保母さんが「すごくよかったよ!声がめちゃめちゃ通ってた!」と言ってくれました。が、自分ではいったいどうだったのか全くわからず・・でもなんとなく、駄目だったような気がします。30分後くらいに会場の外のモニターで自分の歌ってる姿がうつし出されていました。そのときに、確信しました。「駄目だこりゃ。」声は良く出てました。あれだけ外れてると思い込んでいたキーも全く外れてなかった。あんなにあがっていたのに、あれだけの声が出ていたのだから、出来としてはまあまあだったと思います。が、これでは絶対選ばれない。という確信がありました。それは、この私では審査員の印象には残らないと思ったのです。250組もの出場者がいて、たった1分から1分半のパフォーマンスをみて25組を選び出すのは至難の業だと思います。それには、選ばれる側にかなりの印象の強さ、オーラの強さみたいなものがなければ審査員の印象に残らないと思うのです。実際、選ばれた人たちの顔ぶれをみると、「ああ、あの人ね」とちゃんと思い出させることのできる人たちばかりでした。中には「何であの人が?」って人ももちろんいましたが、でもその人のことの予選での様子をちゃんと思い出せるんだからそれなりに個性の強い人なのだろうと思います。

予選会は延々と続き、夜の8時半にやっと発表があって終了しました。選ばれた人たちはみな、とても才能のある人たちばかりでした。中でも際立っていたのが、宇多田ヒカルのファーストラブを歌ったエルさんというイギリス人女性。(彼女は本選でチャンピオンになりました)日本語は全く喋れないのにどうしてあれほどに歌いこめるのだろうと思うほど、上手で、透き通る声をしていました。出場者25人中、半分だけが日本人。上手な人たちはたくさんいましたが、外国人の歌上手パフォーマンス上手にはとってもびっくりさせられました。母国語でない歌を、それも発音や表現の難しいであろう日本語の歌を覚えて、歌い上げることのできるたくさんの外国人にすっかり脱帽です。

予選に通っただけで、すっかり本選に出る気でいた私は、次の日に行われるリハーサルのためにとしみんをベビーシッターとしてロンドンに呼んでいました。ふみんごも土曜日の朝、ロッテルダムからロンドンに駆けつけてくれる予定でした。同じくベビーシッターとしてお願いしていたりっちゃんには3日も仕事を休んでもらいました。恥ずかしいから言わないと決めていたはずなのに、予選の日が近づくにつれて気分がたかまり、結局メールや電話で世界中の友人たちに予選出場するから、もしかしたら土曜日のど自慢でるかも?なんてお知らせをしまくっていました。来週の週末にはのど自慢の本番のビデオを見ながらBBQでもしようよなんていうお誘いまで受けちゃいました。どこから広まったのか知らないけれど、むろの会社でも私がのど自慢にでるらしいという噂が広まっていました。

皆さん、すいません、お騒がせしました。私、しっかり落ちました。m(__)m

結局次の日からはりっちゃんと、おくれてきたとしみんや会社終わってから飛んできたむろと一緒にロンドン観光に終始しました。でも楽しかったです。のど自慢、日本中に「一度は出たい!」と思ってる人がたくさんいるそうです。予選にだって何度もトライして落ちている人がたくさんいるという話です。そんな中、ロンドン大会という大きな大会に出られて、とてもいい思い出になりました。また次回今度はデュッセかパリとかであったら、今度は衣装もメークもばっちりで、山本リンダの「どうにもとまらない」で腰フリダンスを披露するか、都はるみの「好きになった人」でこぶしを回しまくってみようと思います。ついでに、むろを「リンダリンダ」でシャウト&ジャンプさせまくってみようと思います。(実際むろの「リンダリンダ」の方がいけたんじゃないかと思った私。)いやはや、のど自慢、結構クセになります。(笑)

今回は今後のど自慢に私も挑戦!という人たちのために(いるのか?)も、ちょっとまじめなレポなのでまじめな調子で書いてみました。デスマス調って疲れるのね。(笑)皆様、長々とご精読ありがとうございました。